さて先日、
今春大学生になったばかりのうちの長男が、
「相談があるんだけど」と言ってきました。
何やら神妙な顔つきです。
どうしたのか聞いてみると
「今の大学を辞めて、第一志望だったところをもう一回受験したい」
ということでした。
あなたがこのような相談を受けたら、
どう対処されますか?
私は、
子どもがチャレンジしたいということは
主体性が育つチャンスでもあるので、
「いいよ」と伝えました。
その上で理由を聞いてみると、
「今は周りが遊んでいる人が多いので、勉強に集中できる環境が欲しいから」
「英語の勉強を、ちゃんとした環境でしたいから」
ということでした。
長男が受験したものの不合格だった大学は、
全寮制で英語学習に力を入れている大学です。
この理由を聞いて、私は待ったをかけました。
本人が受験し直したい理由を、
今の環境のせいにしていたからです。
この時の長男の心理状態は、
「嫌な環境から逃れたい」というのが
初めにありました。
このような理由で受験をし直して、
たまたま合格したとしても、
自分に不都合な環境だと感じると、
また不満をためて違う道を探そうとします。
私は良い機会だと思い、長男に、
物事には陰と陽があることを教えました。
物事にはいろんな側面があるのに、
人はある一面の事を見てそれがすべてだと
思い込んでしまうのです。
長男の場合は
「遊んでいる人が多い」
「勉強に集中できる環境が無い」
という思い込みを持っていました。
そこで、
「今通っている大学の良い面も見て、良い面と悪い面の両方を並べてみて、それでもここを出たいと思うのならもう一度言ってきなさい」
「入学してから今までで、自分が得た発見や良かったことを探し出して、それからもう一度話に来るように」
と伝えました。
2日後、長男はさっぱりした表情で
「お父さん、やっぱり今の大学にそのまま通うことにするよ。だって勉強も大事だけど、今は部活(水泳部)が楽しいし、好きだから」
と言ってきました。
「お父さんは受験し直してもいいと思っているよ」と言っても、
「いや、楽しいと思えることがあるから、それをとことんやってみようと思う」
と返答してきました。
学生時代は、
その時にしかできないことがあります。
勉強も大切ですが、最も大切なことは、
自分が良いと思うことに焦点を当て、
そこに集中してみること。
それができる時間も選択肢もあるのが
大学生ではないかなと思っていたので、
私も安心することができました。
人は、何か環境を変えようと思うときは、
今の環境の悪いところに焦点を当てて、
自分の想いを正当化しようとします。
そう思ってしまった自分自身に目を向け直し、
良い面にも目を向けてみると、
意外にも見落としていたことに
気がつくこともあるでしょう。
常に物事には、
よい面と悪い面、陰と陽、両面があることを、意識しておきたいですね。