今日は、ITマネージャーをされている
Tさんのお話です。

部下を率いて、
あるプロジェクトを進められていたTさん。
しかし、チームを思うように動かせず、
自分のリーダーシップ力に
疑問を持つようになりました。

チームで仕事を動かしているので、
ある部下にも担当を振り分けていましたが、
コミュニケーションがうまく取れずに、
期限に間に合いそうにない事態が
発生してしまったのです。

それを見たTさんは部下に、
何があっても期限までに
担当分を終わらせることを
求めようとしました。

しかし、「反発されたらどうしよう」との
思いが頭をよぎり、
その部下の仕事を自分で引き取ったそうです。

当時は残業続きで、
Tさん含めチーム全員が、
疲れていらだっていたことも
関係していたようです。

その結果、今度はTさん自身が
いっぱいいっぱいの状態に陥り、
全体を見渡せず、ミスが発生し、
お客様から指摘を受けてしまうことに
なってしまいました。

人のマネジメントの難しさを痛感したTさん。
今後、このような状況に陥ったときには、
どうしたらいいのかお悩みの様子でした。

あなたがTさんなら、どうしますか?

Tさんは、なぜこのような判断を
してしまったのでしょうか?

一つの理由として、
チーム全員が疲れていたということが
あるでしょう。

リーダーの責任を果たさなければと
考えたTさんは、
部下のできなかった仕事を
自分が背負い込んで乗り切ろうとしました。

しかしその結果、
危機管理の視点が欠けてしまったのは、
判断ミスととられても
致し方ないかもしれませんね。

私は、本当はどうしたかったのか、
Tさん本人の大切にしたかったことを
探りました。

その前に、
「Tさんにとって仕事とは?」と
質問を投げかけると、
自分の存在意義を確認する場所であり、
機会である、
そして、お客さまや会社に
貢献していることが感じられることであると
いう答えが。

仕事の価値を、自分が役に立っていることが
確認できることに置かれているんですね。

そんなTさん。
元々責任感の強い人ですし、
部下の存在を認めてあげたいという気持も
強い人です。

この話を引き出したとたんに、
Tさんは自分の大切にしたかったことに
気がつかれました。

「森さん、私は自分が自分らしくいることで
チームの秩序を保っていたのに、
自分らしくいることを手放したがために
こんな結果になったのだとわかりました。
私は部下を信頼していなかったのです。
お客様の方を見るのではなく、
部下から反発されるのを
恐れていただけなんです。
そんな自分は、
自分らしさとは真逆の状態ですね」

では、自分らしくいられたとしたら
どうしていたか、私が質問すると

「お客様のことを考えて、
部下ととことん話し合ったはずです。
それが疲れていて、
自分が反発されたくないと、
精神的に楽をしようとしてしまいましたね。
もっと部下のことも信じていたなら、
深くコミュニケーションを
取っていたはずです」

「その部下が出来ないのなら、
他のメンバーと話し合って
仕事を分担すればよかっただけなんです。
でも反発されたら嫌だなという気持ちが、
自分を消極的な対応に
向かわせてしまいました」

ここまで自己分析が出来たTさん。

自分がこれまでにも、
疲れた時には同様の傾向になっていた
話もされました。

自らが弱っているときの傾向がつかめると、
対策も立てやすくなります。

でも、自らが弱っているときに
どのような思考パターンになっているか
わからないままだと、
「運が悪かった」「調子が悪かった」などの
できなかった理由を探して、
言い訳して終わりになります。

全ての出来事に意味を持たせるには
失敗した時こそチャンスです。

その時役に立つのが、自分の価値観。
「何を大切にできたら
仕事の価値を感じるのか?」です。

で、仕事に対する価値観は、
弱ったときには見失いがちになりますから、
日常的に自分の棚卸を
しておけるといいですね。

そして、できるだけ言語化すること。

言語化することによって、
仕事の価値観はさらに刷り込まれます。

その状態で仕事をしていると、
仕事のやりがいを感じやすくなります。

仕事のやりがいを感じる機会が
増えていけば増えていくほど、
その価値観はさらに洗練されていくのです。

すると、
疲れて余裕がなくなってきたときでも、
大切にしたいことを軸に
戦略を考えられる可能性は高まりますね。

仕事を何のためにするのか?何を大切にしたいのか?
仕事の成果の先に得たいものは何なのか?
こういった話をする機会が、定期的にあるといいですね。

あなたは、チーム内で仕事の価値観を
シェアする機会はありますか?

 
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