今回は、拙著
「最高の上司は、何も教えない。 自分も部下も結果がすぐ出るマネジメントの鉄則43」
の実例としても登場されている
Aさんのお話です。

Aさんは、工場の生産ラインのリーダーです。
彼女の職場では、3つのチームがあり、
トイレと更衣室の清掃を
各チームからひとりずつ人を出し、
毎日時間を合わせて、することにしました。

チームごとの担当にしなかったのは、
そのチームが清掃している時間に、
製造ラインが止まることを防ぐためです。

ところが彼女のチーム内から、
他のチームの人との時間調整が手間だとか、
気心の知れた同じチームの人同士で
清掃したほうが早く終わるのにと言った
反対する意見が出てきて、
チームの雰囲気が険悪になってきました。

どうしたらいいものか? と
卒塾生の集まりに相談に来られたのです。

上長も何も言わないし、
部下の反発心は言葉や姿勢に表れて
非常に息苦しさを感じるし、
かといって社内で決めたことを簡単に
変更するのもどうかと思うし、
今のままではチームは良くならない。

塾で学んでいた頃は、
「チームがすごくよくなりました!」と
嬉しそうに言っていたAさん。

他の卒塾生たちにコーチングされて、
うまくいっていた頃の事を思い出しました。

その時自分は、ひとりひとりを観察し、
「いいですね」と言葉で伝えていた。
相手の良いところを見つけ
それを口にして伝えていた。
笑顔があり部下からの提案があった。
自分も言動一致を心がけていた。
大きな目標を宣言し、共感してもらっていた。
こんな状況が言葉になって出てきました。

「今もAさんは、これやってますか?」
と質問され、Aさんは気づきました。

「私は、部下やメンバーの
ネガティブな行動にばかり
目を向けていました」と。

そして、
「塾で学んでいた頃に心掛けていた行動を、
していない自分に気がつきました」とも。

その頃の行動を心掛けると、
今のような反発も、
一所懸命考えての事と
受け入れることができます。

Aさんが受け入れることができると、
部下たちも
少し前までは良好な関係だったわけですから、
お互いに話し合いの余地ができるでしょう。

その状態にしてから改めて、
当番制の清掃の
最も良い形について話し合いたいと、
Aさんは自ら決めた方針を語ってくれました。

コーチングが終わった後Aさんは、
「ちょっと前まではできていたことが
できていなかった自分に気がつけました」
「もっと意識していないといけないですね」
「こうして考えさせてくれる環境があるから、
自分の良い状態を取り戻すことができます」
といった言葉を口にしていました。

コーチングに限らず、
学んだことができるようになると
「もうできる」と安心して、
技術を維持する努力を忘れがちです。

何事も、技術として習得したことは
定期的にメンテナンスをすることですね。

学んだことのメンテナンスの大切さを学んだAさん。
これからさらにご自分を成長させていかれることでしょう。

 

 
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