自分にとって不都合な思い込みを
持っていませんか?

今回は、
何か落ち込むようなことが起こると
自分を責めてしまい、
体調まで悪くされていた方についての話です。

相談者はYさん。
大手企業でその実績を評価され、
管理職になられた方です。

長年まじめに勤められ、
管理職に抜擢されて、
本社の新しい部門を任されておられます。

ただ、Yさんは新しい部門に移ってから、
胸が苦しくなったり、
目が回ったりするような、
体調不良を自覚するようになりました。

様々なプレッシャーのかかる新しい部門で、
知らない間に無理をしていたのでしょう。

よく話を聞いてみると、
何か不都合なことが起きると、
「自分が悪い」「自分のせい」と
自分を責めてしまう癖が、
昔からあったそうでした。

そして、
それが続くと不安感に襲われたり、
無気力になったりして、
自分で体調コントロールが
できかねるような状態だったそうです。

「自分のせい」と思い込むのは、
過去の体験からくる思い込みです。

Yさんにも、
生まれた時から少年期にかけての、
大変な体験がありました。

ご両親が障害をお持ちの方で、
身の回りの世話や教育はすべて
おばあさんがしてくれていました。

障害のため、ご両親とは会話をすることが
できなかったそうです。

ご本人にとっても、
親と言えばおばあさんのことで、
ご両親はどちらかと言えば、
一緒に住んでいた人という
感じだったそうです。

少年時代のYさんは、ご両親の障害を
クラスには知られたくないと思い、
授業参観などにも来てほしくなかった
ともおっしゃっていました。

この時の本音を丁寧に聞き出すと、
「自分は普通と違うんだと、我慢しなければいけないと思っていた。親には言っても無駄だと思っていた」

さらに当時の本音を聞き出すと、
「本当は、親には気持ちをわかってはもらいたかった。コミュニケーションをもっと取りたかったし、いろんなことを学びたかった」
ということがわかりました。

子ども心に、
「現状を受け入れなければならない」
とは思いつつも、
ご両親にも甘えたかったんですね。

幼い少年でしたら、
至極当り前の考えでしょう。

そこで、Yさんと同意の上で、
過去の思い込みを外すことにしました。

「自分は普通とは違うことを我慢しなければならない」
と思っていたことは、
そう思う必要が無かったことに。

そして新たに、
「親には、甘えたい時は甘えることもでる」
という思い込みを持っていただきました。

セッション前は
思い詰めた感じのYさんでしたが、
終了後には生き生きとされ、
まるで天使のような
穏やかな表情になられたのです。

そして、
その表情のまま涙を流されました。

苦しかったであろう
Yさんの少年時代を思うと、
私も涙があふれてきました。

いい歳をしたおじさんふたりが、
ホテルのカフェで泣いている様は、
はたから見たら、
異様な光景だったかもしれません(笑)。

その後のYさん。

仕事で不都合な状況になっても
自分を責めることがなくなり、
状況を客観的に
見られるようになったそうです。

これまでのような
不安感、無気力、胸が苦しい、目が回る、
といった症状も出なくなりました。

Yさんは、
今度親御さんに会った時には、
自分の子どもの頃の気持ちと、
生んでいただいたことへの
感謝の気持ちを伝えたいそうです。

心を閉じていた親子関係も、
Yさんがもともと欲していた関係に
なりそうです。

人は物事のある一面だけを見て、
「それがすべて」と判断しがちです。

これが積み重なって、
強固な思い込みができます。

自分にとって都合の良い思い込みは、
そのままにしておけばいいですが、
自分に不都合をもたらす思い込みは、
変えてしまうと楽になります。

 
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