先日、ある女性のリーダーから
相談を受けました。
「同僚がミスをしそうだったので、
ちょっと注意したらムッとされて、
それ以来話しかけるのを躊躇しています。
その同僚とはもう話もしたくありません」
だそうです。

「同僚と話をせずに、
仕事はうまくいくのですか?」と聞くと、
「仕事はやりにくくなっています。
でも、話を聞こうとせず
ムッとする方が悪くないですか?」とのこと。

彼女にとっての真実は、
『同僚の態度が良くないから、
仕事がやりにくくなった』なのです。

多くの人は、この女性のように、
目の前で起こった出来事が原因で、
その結果、今の自分の気持ち
(この場合は、話もしたくない、
仕事がやりにくくなったこと)が、
生まれたと思いがちです。

でも、仕事がやりにくくなったのは、
「ムッとされた」という出来事が
原因ではありません。

「人が話しかけたらちゃんと答えるべき」
という思い込みが原因です。

「人間は、自分の人生に起きる出来事を、
自分のビリーフ(思い込み)を通して解釈し、
その結果として感情や悩みが生じる」と、
心理学者のアルバート・エリスは
論じています。

これは「ABC理論」と呼ばれていますが、
AはActivating Event=出来事
BはBelief=思い込み
CはConsequence=結果
を示しています。

先ほどの女性の場合だと、
「人が話しかけたらちゃんと答えるべき」
という思い込みではなく、
「人が話しかけたら
ちゃんと答えるのが望ましいが、
人それぞれ状態が悪い時もある」という
思い込みだったらどうでしょうか?

話しかけた同僚の状態にも目を向け、
例えば「体調でも悪いの?」と、
質問することもできますね。

そうすれば、結果として
仕事がやりにくいという状況を
回避できる可能性が出てきます。

さらに「人に話しかけても答えない時、
それには必ず理由がある」
という思い込みを持っていると、
また結果は変わるでしょう。

この女性は私が、
彼女が真実だと思いこんでいることが、
本当に事実なのか問いただしたことで、
自分自身の思い込みに、
今の状態の原因があることに気がつきました。

そして、その「ちゃんと答えるべき」という
思い込みを持つ価値を考えてもらうと、
それを手放したいという気持ちになりました。

こうなると
怒りや悩みの感情から解き放たれて、
主体性を発揮できるようになります。

人間関係で嫌だなあと思うことの原因は、
その人の態度ではなく、
あなたのビリーフ・思い込みです。

特に完璧主義であったり、
人に弱みを見せるべきではないとか、
相手をがっかりさせたくない、と思う人は、
思い込みで自分を制限してしまう
傾向にあります。

嫌な思いをした時こそ、
自分の思い込みが何であるのか、
そしてどうなることが
自分にとって最も良い状態なのか、
考えるチャンスととらえたいですね。

あなたも、悩み事の原因を探ってみませんか?

 

 
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