私には、認知症で施設に入っている母がいます。
人は、今目の前で起こっていることの
背景を知っているから、
落ち着いて目の前の事に対処できますね。
例えば、今私はこうして文章を
PCに打ち込んでいます。
これは私が、
「ブログを書こう」という意図をもって、
その意図を自覚・記憶しているから、
安心して打ち込めています。
ところが、認知症の母の場合、
何かを書こうと思ってペンをとっても、
そのうちどんな意図を持っていたか
忘れてしまうのです。
そして
「私は何でペン持ってるんだろう?」
とつぶやき、
その意図が思い出せないので
書き続けることもできず、
投げ捨ててしまうのです。
そして、その時にいる場所が、
いつも自分がいる部屋ならいいのですが、
例えば喫茶店などにいると、
「なぜこんなところにいるんだろう?」
と急に不安になったりします。
一度不安に陥ると、不安が不安を呼び、
感情的になったり怒ったりするんですね。
ですので、母と一緒にいる時、
私はいつもその表情を観察しています。
たまに外を散歩していても、
不安げな表情に急に変わることがあります。
その時は空を見たり、
私が小さい頃の話をしてみたりします。
母のわからないこと向いている焦点を、
母のわかることに変えるんですね。
すると、自分が記憶していることに
母の焦点が向きますから、
母の気分は落ち着きます。
相手の表情を観察して、
相手に安心感を与える。
相手の安心した表情を見ると、
自分も安心する。
こんなやり取りを通して、私は、
この人に育てられてよかったと思うのです。
毎回、母に会うのは楽しみです。
コーチングを学んで、
本当によかったなと思います。
認知症の人ほどではないにしろ、
人は不安になると
自分を見失いそうになります。
すると突然、感情的になったりするものです。
あなたの周囲でも、
突然感情的になったりする人がいらしたら、
その感情に至ったいきさつに耳を傾け、
話を受け入れた後で、
その人の焦点を変えてみましょう。
怒っても、
自ら焦点を変えられる人ならいいのですが、
そうでない人は、放っておくと
どんどん負の感情に支配されていきます。
「〇〇の件、お怒りはごもっともです。
改善策を本日話し合い、別途報告します」
「ところでお子さんの調子はどうですか?」
と言った感じで焦点が変わると、
その人の感情的な部分は収まります。
一度このプロセスができると、
その感情的になった人は、
あなたに安心感を抱きます。
一度、トライして
その効果を体感してみてくださいね。
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