【今日の質問】
自分が正しいと思ったことが伝わらないのを
相手のせいにしていませんか?
こんにちは。
悩めるリーダーにブレイクスルーを起こす、
人財育成コーチの森泰造です。
もう昨年の話です。
帰宅したら、
長男(当時高2)と次男(同中3)が、
声を上げて取っ組み合いの真っ最中でした。
私はすぐさま二人を引き離し、
少し落ち着かせ、
状況把握のために双方の話を聴きました。
話を聴くと、次男が受験前なのに
パソコンでネットサーフィンしていたので、
長男が「勉強しろ」と言ったところ、
次男が「うるさい」と口答えしたことが
きっかけだったようです。
次男いわく、
「今日はもう勉強は一通りしたから、
ひと休みしていた」
「やってるのにやってないと言うから、
ムカついた」とのこと。
長男の言い分は、
「いや、やってるようには見えないし、
1時間以上パソコンしているから、
俺が『勉強やれよ』と言ったら
逆に『うるさい』と言ってきたから、
勉強やらせないと、とよけいに思って
勉強部屋に連れて行こうとした」
「一番勉強しなきゃいけない時なのに、
それを避けて楽なことに逃げてる」
お互いの主張は平行線です。
こんなとき、あなたはどうしますか?
私は、こんな時こそ
兄弟関係を深めるチャンスだと思い、
「そもそもどうしたかったのか?」と、
彼らに本音の部分を質問しました。
すると、長男は自分が中学受験で失敗し、
高校受験も第一志望に受からなかったので、
弟にはそんな思いをさせたくないと考えて、やったとのこと。
また次男は、自分のペースがあるのだから、
それを乱されたくないと考えていたことが
わかりました。
その話を、
彼ら自身の口から相手にもさせると、
お互い相手がそんな思いを持っていたとは
知らなかった様子。
次男は、長男の弟に対するやさしさを知って
嬉しそうな顔に変わりました。
長男にはそもそもどうしたかったのか? を
考えてもらったところ、
「勉強してくれればそれでいい」とのこと。
自分のペースを大事にしたいという
次男の特性を理解し、
次男の頭の中で描いている自分のペースが
今どうであるかを探ってみてから、
自分の思いを語ったらどうなっていたか?
を考えてもらいました。
すると、長男は素直に
自分のやり方が間違っていた、
言いたいことだけ言ってすまそうとしていた
と、気がついてくれました。
人は、自分が正しいと思うことを
主張しようとします。
それ自体は悪いことではありません。
でも、物事には正しい解釈が、
ひとつしかないわけではありません。
100人中90人が賛成した新業態のアイデアを、
「9割が賛成した素晴らしいアイデアだ」
と解釈する人もいれば、
「10人も反対意見があるアイデアだから、
もっと改善しないと」と思う人もいます。
人の評価に関しても、同じ人を見て
「あの人の仕事っぷりは素晴らしい」
と思う人もいれば
「あの人の仕事は信頼できない」
と思う人もいたりします。
人はそれぞれの物の見方をして、
異なる解釈をします。
それは物事の真実ではなく、
思い込みなのです。
今回の兄弟げんかも、
次男のパソコンをしている姿への、
解釈の違いから生まれたものでした。
人は、それぞれ思いが違うこと。
そして自分が正しいと思い込んでいること。
違う思い込みを、
正面からぶつけあったところで、
お互いに自分が正しいと思っていたら、
争いごとにしかならないこと。
つまり「自分が正しい」だけ主張し合うと、
本当に自分が欲しい状態は生まれないこと。
これらを話すと二人とも納得していました。
そして次に二人に、
自分がこれが正しい、こうあってほしいと
思う状態を手に入れるには、
まず相手の考えや状態を思いやり、
観察をして、
自分がどうしたいのかを自分に問うてから、
話をすることをイメージしてもらいました。
まだ高校生、中学生ですから、
すぐにできるようにはなりませんが、
本人たちも自発的に、
「これができたら、嫌だと思っていた人とも
仲直りできるんじゃないか」などと、
思いを巡らせられるようになりました。
人によってものの見方や解釈は様々です。
お互いが、それぞれの物の見方や
解釈があることを認め合い、
話し合いによって進めていくことで
WIN-WINの状態は作れます。
今回は、息子たちから私も改めて
教えてもらいました。
あなたは、自分が正しいと思ったことが伝わらないのを
相手だけのせいにしていませんか?