■今日の質問「若い社員を正しく磨いてあげていますか?」
こんにちは。
悩めるリーダーにブレイクスルーを引き起こす人財育成コーチの森泰造です。
前回のメルマガでは、新入社員を育てるのなら、どのように育てるのか? 育った時の姿を描いてから育てよう、というお話をしました。
今日はその続編です。
昨今の若者の特徴である「人に揉まれた経験」が乏しいために打たれ弱い人財。
この人財をいかにして磨いていくか、について書きます。
人に揉まれた経験が乏しい若者を、自ら考え、発言し行動するといった主体的な人財に磨き上げる方法は、人付き合いの理論を学んだりすることではありません。
鍛えてあげること、いわゆるトレーニングです。
何事も、できないことができるようになるには、トレーニングする以外に方法はありません。
スポーツも勉強も仕事も、そして社会人としての人格形成も同じです。
2016年の調査では、先輩社員の70%以上の人が新入社員を「主体性がない」と評価しています。
しかし、私も新入社員育成の現場にいましたからよくわかるのですが、彼らは自分で「こうしたほうがいい」という考えは持っていることが多いのです。
ただ、人にどう思われるか不安だから言えない。
不安を抱えていると、どんどん不安が増幅される。
先輩から「何かあったら相談して」と言われても、どう思われるか不安だから言えない。
だいたいこんな感じです。
彼らが人にどう思われるか不安なのなら、人にどう思われるかを体験させればいいのです。
その為には、常に彼ら自身に考えさせる状況を作り出すことが大切。
新入社員に対しては、何も知らないからすべて教えてあげないといけないと、思いがちですよね。
ここで「教え魔」が登場したりすると、彼らから考える機会を奪ってしまうパターンをよく見かけます。
「〇〇は△△だから××するんですよ。わかりましたか?」
こんな働きかけだと「はい、わかりました」と言っておしまいですね。
返事はして納得するものの、「考える」ことはしません。なぜなら経験していないからイメージできないのです。
こんな場合には、
「〇〇は××するんですよ。どうしてでしょうか?」
なら、新入社員も考えます。
個別に考えさせると、そのうち「わかりません」と言う人が出てくるでしょう。
答えがわからない場合は、教え役にそれを求めるのではなく、新入社員同士で知恵を出させて考えさせます。
「隣の人とどうしてなのか、考えてください」
と声をかけると、いろいろとイメージをしながら話し合いが始まります。
そうして出てきた答えが合っていようが間違っていようが、答えを出すために話し合いをしたプロセスを認めてあげるのです。
そして、その話し合いのプロセスをどう感じたか、さらに質問をしてあげるといいでしょう。
これを、話し合いのプロセスが大切だと思うようになるまで繰り返します。
また、お互いの考えと考えをぶつけ合わせ、そのぶつかり合いについてどう思うかも考えさせます。
こうしたやり取りを通して、人と意見を調整したりまとめたりする能力が養われていくのです。
このやり取りに慣れていくうちに、人対人の対応への不安感が徐々になくなり、自信がついてくるのです。
この鍛錬を後回しにして、仕事を覚えてからトレーニングするとどうなるでしょう?
多くの新入社員は仕事を覚えていることをよりどころにして、トレーニングを避けようとするでしょう。
それでもトレーニングすれば、改善はできます。
ただ、初期教育で実践したことは、刷り込み効果もより高くなります。
面倒くさいと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
けれど、家庭での子育てと原理原則は同じなんですね。
親の言うことに忠実に従うだけの子どもを育てても、社会に出たら通用しないですよね。
子どもに考えさせ、選択肢を与えて、子供が自分で考え選んだことを認めてあげる。
その繰り返しで子どもの主体性は育ちます。
人財投資には少なからずお金がかかります。
ですから、ぜひとも「結果」にフォーカスして、育てていただきたいものです。
あなたは、若い社員を正しく磨いてあげていますか?