■今日の質問「周囲に、優秀なのに疲弊していく人はいませんか?」
こんにちは。あきらめかけている人をあきらめない人にするコーチ森泰造です。
最近はセミナーに来られる方の問題意識が高く、いろんな質問を受けるようになりました。
質問は、私自身も自分の考えをまとめたうえで言語化する機会になりますし、その言語化のプロセスで新たな気づきを産むので、大変ありがたく感じています。
メルマガを読まれての質問も、大歓迎ですし、それをシェアさせていただける機会があるのは、メルマガを読まれているほかの方々への気づきも産むので貴重なツールですね。
先日、カウンセラーをされている方にこんな質問をいただきました。
「最近こんな相談を受けることが多いんですけど、どう答えたらいいものか迷っています。
中小企業で新しい社員の人が入ってくると、その人に仕事を教えるんですが、大体教える人ってその組織の中の優秀な人なんですね。でも、教えてもなかなかできないと、結局優秀な人は新しく入ってきた人の仕事までやらざるを得なくなってしまう。
そうすると、だんだんその優秀な人は疲弊していくんですね。優秀な人から辞めていくっていう人事の人もいるんですよ。どうしたらいいんですかね?」
これを読んでいるあなたはどう考えますか?
優秀な人は、任されたことには一生懸命結果を出そうとします。
だから結果も出せるし、周囲の評価も優秀なんです。
この場合も、新しく入ってきた人をなんとか一人前にしてほしいと任されたことに対して、一生懸命結果を出そうとします。けれど、相手は他人ですからなかなか思い通りにやってくれるようにはなりません。
そのうち、自分でやった方が早いってなって、自らプラスアルファの業務を背負い込み、その結果生産性が悪化していることに気が付いて、モチベーションまでもが下がってしまうんですね。
この場合に必要なことは、本人(優秀な人)のリーダーシップです。
「何のために新しく入ってきた人を育てるのか?」
「そして、育てて得られるものは一体何なのか?」
「そもそも私はこの組織をどのようにするべき存在なのか?」
個々の部分に目を向けるのではなく、全体がどうなるために、この新人教育を活かすのかをまず設定しないと、上述のように優秀な人も疲弊してしまいます。
手段(新しい人を育てる)が目的化してしまった典型事例ですね。
でも、この現象(優秀な人から辞めていく)、本当によく耳にします。
これは、その人の上司のリーダーシップによるところが非常に大きいのです。
一生懸命やっているのに報われない、未来が見えない。
これは人を不安に陥れ、ストレスを生みます。
周囲の支援体制がないと、孤独感を感じ、やがて疲弊し、心が離れていくのです。
これを防止するのは、日ごろから、自分の組織は一体どの方向へ向かうのかというビジョンを共有すること。
そして、それを具現化するための行動が支援される仕組みを作ること。
それを可能にするのが、組織のリーダーのアイデンティティです。
なので、この質問に対する答えは
「そもそも、その人の仕事におけるアイデンティティは何なのか?」
「そもそも組織の向かいたい方向性や、実現させたいビジョンは何なのか?」
そこに照らし合わせて、新しい人が入ってくることをどう組織が前に進むために活かすのか?
その為の手段が「教えること」であり、優秀な人が疲弊することが、組織が大切にしたい価値観にそぐわないのなら、組織全体としてできることは何か?
どんな支援をすれば優秀な人が教える価値を最大化できるか?
これらを、リーダーが大事な仕事として、責任をもって考えることが必要だということになります。
2017年3月から開催する、私の3ヵ月間のリーダーシップ実践マスター講座では、「リーダーのアイデンティティ」を実際のビジネスの場でリーダーシップの原理原則を実践するプロセスを通して、育んでいきます。
もちろん、成果を出すことは必須です。
問題意識の高い仲間が、同様に自分のビジネスにチャレンジしていくことを見守り、フィードバックをし、コミュニケーションを深めることで、より自分のアイデンティティをゆるぎないものにすることができます。
そうやって知りあった仲間たちは、これからも深く長く付き合っていける関係でいられますし、この講座の中で新たなビジネスが生まれるかもしれません。
あなたの周囲で、優秀なのに疲弊していく人はいませんか?