■今日の質問「あなたのミッションは実行されていますか?」
こんにちは。みらい創世舎の森泰造です。
先日、元スターバックスコーヒーのCEO・岩田松雄さんのお話を聴く機会がありました。実体験に基づく言葉は、説得力がありますね。
「企業の存在価値は、その事業を通じて世の中を良くする事。それがミッションであり、事業活動の中で生む利益は、ミッションを実行するための手段に過ぎない」
これって言わば至極当たり前の内容で、よく耳にするようにもなりましたが、果たしてどれだけの会社が本気で取り組んでいるのでしょうか?
岩田さんは、この命題に真剣に取り組まれ、成果を残されています。ミッションを全ての行動の基準とすることで、スターバックスのマニュアルを超えた対応が生まれ、「ワンモアコーヒー」というおかわり100円(税別)のサービスも、ただの安売りではなく、ミッションを伝える手段として使われて大ヒットしました。
岩田さんはCEOの時代に、月に2回、800字のレターを社員1800人、アルバイト2200人に送り続けました。従業員全員がミッションを実行することがブランド価値を上げることと信じていたからです。
「スターバックスで働く人は入店したときは悪人の心を持っていても、卒業するときは善人になっている」ともおっしゃっていた岩田さん。経営者にとっては、この岩田さんのようにミッションを具現化する姿勢が不可欠です。
企業とは変化を追い求めるものですが、変化に対応するときに必要なものはマニュアルではなくこうした原理原則です。これらを従業員が実現できているという実感があるとき、それは従業員のモラルや意欲を上げる源泉ともなり、だからこそ、スターバックスは従業員の離職が少ないのです。
スターバックスではアルバイトの初期教育に72時間かけています。ここまでアルバイトの初期教育にコストを使う流れを創るには、そのようなビジネスモデルを最初から設計しておかないといけません。
一般的に飲食業の現実は、残念ながらその逆パターン。人に投資ができないパターンに陥っている会社では、最初のビジネスモデルができていなかったり、ミッションがおざなりになっているところをよく見かけます。
なぜスターバックスは72時間も初期教育に費やせるのか? それは、ミッションを忠実に実行している現場の力が、アルバイトをはじめとした従業員の離職を減らしているからです。それによって生み出されたお金を人財教育に回す。この流れが創れない飲食業は、いつまでたっても体力勝負の形態から抜け出せません。
離職は会社にとって大きなコストがかかります。その内容は3つに分けることができます。
第一には経済的なコスト。採用コスト+教育研修コスト+トレーナーコスト等ですね。
二つ目は時間的なコストです。募集対応、面接、初期教育に使った時間を費用計算したらどれくらいになるでしょうか?
三つ目は精神的なコスト。トレーナーのストレス、また辞めたという現場のあきらめムードは、大きな負荷となって店舗の成長を妨げます。
これらについては、また折りを見てじっくりとこのメルマガでお伝えいたします。
あなたの会社の現場では、ミッションは実行されているでしょうか?